第57章

私は両手をひらりと広げた。

「……私が?」

広瀬有香が、噛みつくように叫ぶ。

「そうよ! 絶対あんたと木下取締役が組んで、私を騙す罠を仕掛けたんだ! あんたたち、仲いいじゃない! 木下取締役はわざとあんたの肩を持って、私を落としにきたのよ!」

私はすぐさま、信じられないという顔で唇を震わせ、傷ついたふりをして広瀬正国を見る。

「お父さま、聞いてください。私は妹が詐欺に遭ったって気づけるように手伝っただけなのに、逆に私のせいだって……」

広瀬正国は両手を背中に回したまま、険しい顔で黙っていた。

私は落ち着いて言い返す。

「振り込みは妹が自分で操作したものです。相手は仮想口座でし...

ログインして続きを読む