第67章

田村成川の言葉を聞いた瞬間、吐き気が込み上げた。

なんでこの男は、私が電話してきた=心変わりした、なんて都合よく思えるわけ?

なんで自分が原崎野矢と並べる存在だと、本気で信じてるの?

滑稽で仕方ない。私は一切ためらわず、口を開いた。

「田村成川。よく聞いて。私、原崎野矢と寝たから」

電話の向こうが、すっと無音になる。

見なくても分かる。今ごろ、田村成川は目を見開いて固まっているはずだ。

こいつは前から、言葉巧みに私を丸め込んで関係を持とうとしてきた。婚約を解消したあとも、同じ手で私を繋ぎ止めるつもりだったのだろう。

でも――その目論見は、もう完全に潰れた。

私はそのまま畳み...

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