第70章

田村のお母さんはようやく安堵したように息を吐き、私の手をぽんぽんと軽く叩いた。

「いい子ね。成川の代わりにお礼を言うわ。あの子が目を覚まして、あなたがそばで面倒を見てくれてるって分かったら……きっと喜ぶ」

私は何も答えなかった。

そのとき、救急処置室の扉が開いた。

医師が出てきて私たちを見回し、淡々と告げる。

「田村さんは命に別状はありません。軽い脳震盪があり、脚は骨折しています。入院は半月ほど。三か月は激しい運動を控えてください」

「よ、よかった……命に別状がないなら……! もう、心臓が止まるかと思った……」

田村のお母さんは今にも崩れ落ちそうになり、田村のお父さんが慌てて支...

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