第75章

ベッドのそばまで歩き、食事の入った容器をサイドテーブルに置く。顔には必死にやわらかな笑みを貼りつけ、声もできるだけ甘く落とした。

「成川。昨日は私が悪かった。あなたを疑うべきじゃなかったの。……生きるか死ぬかを経験して、やっと分かった。結局、形あるものなんて全部あやふやで。命を懸けてでも守ってくれる人こそ、一番大事にしなきゃいけないって」

田村成川は目を見開き、呆けたように私を見つめた。

私は視線を落とし、指先で服の裾をねじる。

「今までの私は意地を張りすぎてた。……でも、あなたはずっと私に一番よくしてくれてたよね」

田村成川はぱっと表情を明るくし、身を起こそうとして私の手を掴みに...

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