第83章

余計な口論をする気にもならず、私はさっとスマホを取り出す。大橋社長が今日送ってきた動画を開いた。

「昨夜の一件で、少しは口の利き方を覚えたかと思ったけど。まだ足りないみたいね」

広瀬有香の笑みが、瞬間で凍りついた。

恐怖に歯を食いしばったまま、彼女は勢いよく階段を駆け下りてきて、私の手元に飛びつく。

「消して! その動画、消しなさい! 早く!」

私は身をひらりとかわし、そのまま腕に力を込めて押し返した。広瀬有香の身体がぐらりと崩れ、床に倒れ込む。

横の花瓶にぶつかり、がしゃん、と乾いた音が弾けた。陶器の破片がぱらぱらと散る。

「きゃっ……!」

広瀬有香は身を縮め、青ざめた顔で...

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