第90章

原崎野矢視点

病院。

広瀬妃菜はベッドの上で眉を寄せ、頬が不自然に赤かった。

さっき医師が診たところ、ひどい風邪で、微熱も出ているらしい。

それを聞いた瞬間、胸の奥に遅れて後悔が差し込んだ。

――あんな言い方で、妃菜を刺激するべきじゃなかった。

もともとは、妃菜が電話に出ないから心配になって、家で何かあったのかと思って様子を見に行っただけだ。

なのに田村成川の姿を見た途端、理性が吹き飛んだ。

妃菜に言われた、あの言葉が頭の中で何度も反芻される。

昔、彼女は俺に言った。お前は思い上がりだ、と。田村成川の指一本にも及ばない、と。お前の優しさは全部、見返り目当てだ、と。

数日前...

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