第92章

電話をかけてきたのは野崎だった。

出た瞬間、野崎は興奮気味にまくしたてる。

「広瀬様! 頼まれていた件、掴めました!」

「……何?」

一瞬、思考が止まった。

「見つかったの? 広瀬北矢のこと?」

「はい。先月、地元の近所の人が広瀬北矢を見たそうです!」

その言葉に、私は弾かれたように病床から上体を起こした。

「見間違いじゃない? 本当に広瀬北矢?」

「目撃者は一人暮らしのおばあさんで、目はあまり良くないらしいんですが……体格と歩き方が、すごく似てたって」

野崎は続ける。

「その人、びっくりして……幽霊が古い家を見に戻ってきたのかと思って、怖くて近づけなかったそうです。相...

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