第6章

夏奈視点

黒石グループ本社、五十階、私の社長室。

午後三時。私が今四半期の財務報告書に目を通していると、突然、社長室のドアが乱暴に開け放たれた。怒りに顔を歪めた大輔が、勢いよく飛び込んできた。

「夏奈!」歯を食いしばりながら、彼が唸る。「お前の仕業だな!?」

私はゆっくりと書類を置き、かつて深く愛し、今では憎悪するこの男を冷静に見つめた。

「大輔? 銀行で融資の件を処理している時間じゃないの?」とぼけて、私は尋ねた。

「ふざけるな!」大輔は私のデスクに両手を叩きつけた。「取締役会での決議、俺の役職剥奪、銀行口座の凍結、さっきは警察まで来た! 全部お前が仕組んだことだろう!」...

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