第8章
ジュリア視点
二時間がひどく長く感じられた。本を読もうとしても、休もうとしても、頭がどうにも静まってくれない。もしFBIが現れなかったら? マルコがどうにかして逃げおおせたら? ビアンカの紅茶が効かなかったのは当然だ。そんなことは覚悟の上だったから。
携帯が震えた。FBIの連絡係からのテキストメッセージ。たった一言、『完了』とだけ。
私は息を吐き出した。
さらに一時間が経ち、庭に車が入ってくる音が聞こえた。立ち上がって窓辺へ歩み寄る。ダンテの車が停まり、彼が一人で降りてきた。血痕も、目に見える怪我もない。
彼はまっすぐ私たちの部屋へ向かってきた。ドアを開けると、その目はす...
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チャプター
1. 第1章
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3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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