第10章

「知らぬ、だと?」

国王の声は氷のように冷たい。

「ならば思い出させてやろう。そなたとその一族は、王位に未練があった。禁断の魔法でノアを操り、私の王位を継がせようとした。惜しいことに、その計画はノアに気づかれてしまった。あの子は、そなたの道具になるくらいならと、自ら命を絶ったのだ」

私は驚愕の表情で国王を見つめ、それからヴィクトリア貴妃に視線を移した。

彼女の顔には、驚きが怒りへと、そして絶望へと変わっていく様が浮かんでいた。

「では、なぜ私を生かしておいたのですか」

ヴィクトリア貴妃は歯を食いしばって問い詰めた。

「なぜ私を月の島から呼び戻し、貴妃の位にまで復させたの...

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