第10章

凛の目は逸れなかった。

 

陽太がその手を払いのけた。

 

「お母さんから離れろ」

 

諒が結城司を見た。

 

「負けたから脅してる」

 

静かな声だった。

 

車内が数秒、沈黙した。

 

結城司は体を起こし、前の隔板を叩いた。車が路肩に停まる。ドアを押し開け、降りた。

 

ドアが閉まる音が重く響いた。

 

陽太が凛の肩に頭をもたせかけた。諒がその手を握った。

 

凛は目を閉じ、ゆっくりと息を吸った。

 

正面からぶつかり続けた。そのたびに傷を負うのは、この二人だった。

 

もう終わりにしなければならない。

 

東京を出る。

 


 

豊洲タワーのエントランスで、凛は諒と陽太の手を引いて...

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