第100章

「青嵐」の先行ティザービジュアルは、一夜にして業界を席巻した。

じわじわと広がる種類ではなかった。どこかの点で突如引火し、あらゆる回路を同時に駆け抜けていく——そういう速度だった。宝飾メディア、ファッション系インフルエンサー、業界団体の公式アカウント。リポストは雪崩のように積み上がり、コメント欄には「帰還」「五年待った」「ついに」という言葉が繰り返し現れた。長いあいだ抑え込まれていた何かが、ようやく出口を見つけたような。

凛が結城財団のデザイン部に足を踏み入れたのは、平日の午前九時十分だった。

無数の視線が、彼女が入ってきた瞬間に集まった。好奇の目、品定めするような目、得体の知れない昂揚...

ログインして続きを読む