第104章

意識が戻るまで、十秒かかった。

凛の視線が、結城司と白い布に覆われたベッドのあいだを行き来した。一度、二度、三度。

それから、わかった。

押し寄せていた悲痛と恐慌が、その瞬間に音もなく鎮まった。代わりに湧き上がってきたのは、まったく別の何かだった——燃え上がるような怒りと、抑えようのない羞恥。さっきの自分は、この廊下で、この男の目の前で、泣きながら叫び、声を嗄らし、白い布に向かって手を伸ばしていた。

その一部始終を、結城司に見られていた。

凛の顔が、一秒のうちに赤く染まった。

「パパ——!」

陽太が最初に動いた。凛の傍らを駆け抜け、廊下を全力で走り、結城司の脚に両腕を巻きつけた。...

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