第105章

星野凛は、鼻を鳴らした。

「特別付添人。」声は平らだった。買い物リストを読み上げるような口調で。「結城財団が雇えばいい。専門の人間に頼んだほうが、私よりよほど役に立つでしょう。」

返事を待たずに、凛は振り返った。しゃがんで、二人の息子を見上げ、有無を言わせない声で言った。

「陽太、諒。帰るよ。」

陽太の足が、一歩動いて、止まった。

母親の顔を見て、病室の入口に背をもたせかけた結城司の顔を見て、また母親の顔を見た。眉が寄り、五歳の子どもが直面しうる最大の難題を前にしたような表情で、その場に固まった。

諒は、迷わなかった。

「ママ、さっきも泣いてたでしょ。」

廊下の空気が、一瞬静...

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