第106章

凛は結城司の額の包帯をそっとほどいた。

三、四センチほどの傷口。縁が外側にめくれ、縫合されてもなお赤く腫れている。黒ずんだ血痂と周囲の蒼白な肌との対比が、この照明の下ではいっそう際立って見えた——病院にいたときより、深く、重く。

凛は綿棒を手に取り、一瞬だけ止まった。

彼のせいではない。

またあの光景が浮かんだのだ。病院の廊下。白いシーツに覆われた輪郭。ストレッチャーの車輪が床を転がる音。あの瞬間、胸の中を根こそぎ抉られたような感覚は、まだ完全には消えていなかった。

深く息を吸い、消毒を再開する。

「どうした」

結城司の声は低く、目は閉じたままだった。

「何でもない」

沈黙。...

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