第109章

場内に沈黙が落ちた。

マイクを通じて、星野寒の声が流れ出す。抑揚がない。まるで公文書を読み上げるように。

「星野凛の票数は第三者による悪意ある水増しによるものです。目的は不正行為の偽装——飛躍杯の規定を利用し、彼女の成績を無効にするため」

一拍置いて。

「この計画を立案したのは、今しがたステージに立って彼女を告発した人物です」

誰かが息を呑んだ。

それを合図にしたかのように、会場全体の声が一斉に溢れ出した。

総合ディレクターの矢野蒼真は、ステージの上で二秒間動かなかった。十七年。この業界で見てきた汚いものは、数え切れないほどある。だが今回の手口は——自分の金で対手票を水増しし、み...

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