第111章

「フライング・カップ」大賞の余韻は、まだ冷めていなかった。

電話は引きも切らずにかかってきて、メールの通知音が数分おきに鳴り響き、スタジオの空気には微かな熱が帯びていた。様々な声、様々な用件——業界からの問い合わせ、コラボの打診、メディアからの取材依頼——昨夜の結果が出た途端、まるで潮が満ちるように、同じ番号に押し寄せてきた。

林希乃は凛の向かいに座り、二台のスマートフォンを並べて広げ、電話に出ながら猛烈な速さでメモを取っていた。ノートには名前、会社名、連絡先がびっしりと書き連ねられている。

凛はひとつひとつ聞き、ひとつひとつ答えた。表情は穏やかで、声は淀みない。

驚きもなく、拒絶もな...

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