第114章

銃声は一発ではなかった。ほぼ同時に重なった、二発の爆音だった。

先に引き金を引いたのは、星野寒だ。

弾丸は結城司の頸動脈右側をかすめ、肩に食い込んだ。距離が近すぎた。弾道がわずかにずれた——夜風のせいか、あるいはその一瞬、自分でも説明のつかない何かが手首を動かしたのか。

結城司は筋肉の記憶で撃ち返した。

考える必要はなかった。この動作はとうの昔に骨に刻み込まれている——銃を上げ、狙いを定め、引き金を引く。弾丸は星野寒の腹部に命中した。

大量出血。

星野寒はよろめいて後退し、踵が桟橋の欄干にぶつかった。倒れはしなかったが、全身が沈み込むように崩れ落ちた。腹部を手で押さえると、掌はたち...

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