第120章

結城財団本社・最上階社長室。

午前三時。

七本目の煙草が指の付け根まで燃え尽きたとき、ようやく気づいた。灰皿に押しつけ、消す。煙が細く立ち上り、散った。

窓の外、東京湾の夜景がガラスに映り込んでいる。結城司はそれを見ていた——何も見ていなかった。

あの午後の雨が、頭の中で繰り返し鳴っていた。墓石の前に立った星野凛。傘を拾わないまま雨に打たれながら、彼を見下ろしてきた目。そしてあの言葉。

「結城司。うちの兄の指がどうなったか、知らないとは言わせない」

知らなかった。

それがこの話の、最も荒唐無稽な部分だった。

結城司は窓から離れ、デスクの前まで歩き、腰を下ろし、また立ち上...

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