第122章

結城司がスタジオから放り出されたのは、夜も更けた頃だった。

玄関の段差の上に立ち、すぐには動かなかった。スーツの胸元に泥水が染みつき、顔のどこかが切れて火照るように痛む。口の中には鉄の味がした。指先で口元を触れると、手の甲に暗い赤が滲んだ。

冷たい風が、その熱を少しずつ奪っていった。

激しく燃え上がっていた何かが、寒さの中でゆっくりと沈んでいく。

車に向かって歩いた。

ドアを閉めると、外の音がすべて遮断された。

シートに背を預け、エンジンをかけないまま座っていた。車内は密閉された暗闇で、遠くの街灯の光だけが窓ガラスを通して差し込み、革張りのシートに細長い光の筋を刻んでいた。

目を...

ログインして続きを読む