第21章

白鳥遥が近づいてくる足音は、軽かった。

 

淡い黄色のワンピース。この朝の光の中で、わざと選んだような色だった。凛の前で立ち止まり、まず凹んだ車尾を一瞥し、それから凛の額から滲む血に視線を移した——そして、目の縁が赤くなった。

 

唇が、かすかに震え始める。

 

「私も……びっくりして、前に急に人が飛び出してきて、とっさに……」

 

声に、ちょうどいい量の動揺が混ざっていた。本当に驚いた人間のように聞こえた。

 

凛は路肩に立ち、片手で車体を支えながら、もう片方の手を上げた。指先で、こめかみの近くを軽く触れる。拭くのではない。血の流れる方向を、確かめただけだった。

 

それからスマートフォンを...

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