第25章

銀色のスポーツカーが路肩に停まった。

 

藤堂涉が運転席から降り、スーツの袖口を軽く整えてからエントランスへ向かった。星野凛が一歩遅れてついていく。外套を手に提げたまま。

 

結城司がエントランス外の暗がりに立っていた。

 

足元で煙草が燃えていたが、彼は動かなかった。東京湾の方角から夜風が来て、潮の匂いを運んできた。その場に杭を打ち込んだように立ち尽くし、全身から抑えた暴戾な気配が滲み出ている。涉の飄々とした佇まいとは、何もかもが対照的だった。

 

先に口を開いたのは涉だった。今夜の天気でも語るような、軽い口調で。

 

「こんな遅い時間に、結城社長はまだお休みにならないんですか。わざわざここ...

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