第26章

白い百合が、腕の中で重く揺れていた。

 

凛は父母の合葬墓の前に膝をつき、その一束をそっと供えた。指先が石面をなぞる。碑文の字は風雨に削られてわずかに霞んでいたが、それでも見覚えがあった——目を閉じていても、一画一画をなぞれるほど。

 

「お父さん、お母さん……」

 

思ったより低い声が出た。喉の底から絞り出すような声だった。「帰ってきたよ。この五年、まだ踏ん張ってる」

 

風が木立の間を抜けていく。青草と土の匂いを運んでくる。

 

陽太と諒のことを話した。陽太はおしゃべりで、何でも知りたがって、一日中話が止まらない。諒は口数が少ないが、誰よりも知恵が回る。あの静かな目がいつも、静かに機を待っ...

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