第27章

電話がつながった。

 

「Bonjour, Vincent. Je suis Stella.」

 

凛はフランス語で切り出した。声は落ち着いていて、余分な前置きが一切なかった。

 

電話の向こうが一秒、沈黙した。

 

「Stella?」相手の声には警戒が滲んでいた。フランス語に南部なまりがかすかに混じっている。「約束した覚えはないが」

 

「ありません」凛は直接言った。「こちらから連絡しました」

 

「合作先はもう決まっている」

 

「大望商事ですね」

 

また沈黙した。今度は少し長かった。

 

「情報が早いな」Vincentの声は温まらなかった。「だが、何も変わらない。協議はもう意向段階に入...

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