第31章

病室は静かだった。

 

心電モニターが規則正しく鳴り続けている。この世界でまだ何も狂っていないものが、あるとすれば、その音だけだった。

 

「現場で死亡した」

 

鋭斗の声が、まだ耳の奥に残っていた。凛は天井を見つめたまま、動かなかった。

 

それから、感じた。

 

背骨の底から這い上がってくる、冷たい戦慄。寒いからではない。別の何かだった——歪んだ、自分でも名前をつけられない何かが混じっていた。それが何かを確かめようとして、一秒で諦めた。

 

確かめなくていい。

 

死んでよかった。

 

その考えが浮かんだ。ガラスに刻んだ文字のように、くっきりと。*あの人を殺そうとした人間が、先に死ぬべ...

ログインして続きを読む