第38章

白鳥遥はまだ床に座り込んだまま、スマートフォンを両手で握りしめていた。

 

林希乃は腕を組み、見下ろすように立っていた。

 

「救急車でも呼ぶ?『殺されそう』って言えば、もっと絵になるんじゃない」

 

遥は無視した。嗚咽を混じらせながら、結城司の名前を繰り返し呼び続けた。

 

凛は一瞥だけ希乃に向け、それだけで十分だった。希乃が口を閉じる。凛はワークテーブルに戻り、冷め切ったコーヒーを手に取った。画面に視線を落とし、続きを見ていた。

 

重い推拉門が、内側から弾けるように開いた。

 

結城司が入ってきた。

 

怒気と外の寒気が、一緒に流れ込んだ。鋭い視線が室内を素早く走り、遥を見つけ、凛を見つ...

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