第39章

背中が、前方にあった。

 

結城司は人波を割り、買い物客をかわし、すべてを無視して全力で追いかけた。表参道の午後の人混みが彼を飲み込み、また吐き出した。方向だけを見ていた。歩き方だけを見ていた。その輪郭だけを。

 

街角で、前に回り込んだ。

 

相手が振り返った。

 

知らない顔だった。年齢も、体格も、髪の色さえも——何もかもが違った。星野鋭斗とは、何一つ結びつかない。

 

世界が一秒、止まった。

 

それから、期待が喉の奥から崩れ落ち、胸腔に叩きつけられ、砕け散った。

 

「人違いでした」

 

喉から絞り出した。乾いた、嗄れた声だった。誰かに喉を鷲掴みにされて、言葉を無理やり搾り取られたよう...

ログインして続きを読む