第43章

薄暗い廊下で、ふたりが向き合っていた。

 

「諒……遥に悪意はない……」

 

結城司が口を開いた。言い訳のように聞こえた。実際、言い訳だった。

 

諒は遮った。感情を抑えた、静かな声だった。陽太の反応を証拠として挙げ、一つずつ述べていった。五年前に母を傷つけたこと。今夜、星野凛を怒鳴りつけ、陽太を怖がらせたこと。

 

結城司の顔色が、蒼白から赤へと変わった。反論しようとした。だが白鳥遥に対する自分の感情を言葉にしようとした瞬間、何も出てこなかった。喉の奥で言葉が固まり、溶けて、消えた。

 

「結城家の戸籍に入れと言い続けているのに」諒は続けた。声に起伏はなかった。「お母さんへの最低限の敬意も、...

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