第49章

最初に目を覚ましたのは、諒だった。

闇は完全だった。輪郭すら見えない。コンクリートの床の冷気が衣服を通り抜けて皮膚に染み込んでくる。空気は鉄錆と黴の臭いが混じり合い、息をするのも少し苦しかった。

動かなかった。

まず耳を澄ませた。

足音はない。話し声もない。遠くのどこかで、金属の配管を水が流れる音だけが、低く一定のリズムで続いていた。

ゆっくりと身を起こし、横へ手を伸ばした。陽太の腕に触れた。

「陽太」

小声で呼んだ。

陽太はうなって寝返りを打ち、目を覚まさなかった。

もう一度呼んで、少し力を込めてつねった。

今度は目が開いた。闇の中では何も見えなかったが、陽太の呼吸が変わ...

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