第50章

刃が凛の胸へ向かった瞬間、結城司が横から体当たりで凛を突き飛ばした。

 

匕首の刃が、深々と彼の左肩に沈んだ。白いシャツが瞬時に赤黒く染まり、血が滲み広がっていった。

 

凛は沥青の路面に転倒した。膝と掌が粗いアスファルトを叩いた。茫然と顔を上げると——

 

司が、激痛で顔を歪め、蒼白になっていた。

 

その光景が、凛の理性の最後の一線を断ち切った。

 

绑匪が匕首を引き抜き、再び刃を構えた。

 

凛は叫び声を上げ、地面に落ちていた黒い拳銃を拾い上げた。銃身を武器に、ありったけの力で绑匪のこめかみを叩きつけた。

 

鈍い衝撃音。

 

绑匪の目が白く返り、その場に崩れ落ちて動かなくなった。

 

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