第58章

握手の瞬間、桐生拓の力加減は思ったより軽かった。

 

「あなたの構想は、想像以上でした」

 

一秒ほど迷ってから、凛はそっと手を重ねた。掌が触れ合う温度は商務的で、ちょうどいい距離感だった。

 

「お互いにとって良い仕事になりますように、桐生さん」

 

契約書はすでに署名済みだった。表紙に「Re:BIRTH」の四文字が印刷されている。凛はファイルを閉じ、テーブルの向こうへ押し出した。

 

桐生拓はすぐには立ち上がらなかった。椅子に座り直し、テーブルの上の効果図をぱらぱらとめくりながら、何でもないことを口にするような調子で言った。

 

「来週末、プライベートクルーザーでパーティーを開こうと思って...

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