第6章

露台からの夜風が骨まで凍えさせた。

凛には、結城司のその言葉の重さがよくわかっていた。

協力でも援助でもない——彼女を放り込むのだ。虎視眈々と隙を狙う政財界の権力者たちの前に。彼女の忍耐を、彼女の体裁を、彼女の尊厳を使って、東京湾プロジェクトへの道を舗装するために。

交取引という外皮を被った、これは侮辱だ。

諒と陽太のためなら、選択肢などなかった。

凛は目を閉じ、込み上げる苦さと屈辱をすべて胸の奥へ沈め、再び瞼を開いたとき、その瞳には凪いだ静けさだけが残っていた。

「わかりました」

一言。認めるように軽く、血を斬るように重く、落ちた。

個室のドアが押し開かれると、煙草とウイスキ...

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