第69章

先頭の黒服は銃口を動かさなかった。声にも、何の揺らぎもなかった。

「ご同行ください。」

結城司は何も言わなかった。

ただ、半歩横に動いた。凛を背後に隠す。大きな動作ではなかったが、正確で、完全だった。リボルバーはすでに水野和也のこめかみに押し当てられていた——地面に丸まって震えているその男は、交渉の余地をとうに失っていた。

「ありえない。」

二文字。静かで、断固としていた。

先頭の黒服はアサルトライフルをゆっくりと持ち上げ、銃口を結城司の眉間に合わせた。

「我々の標的は彼女一人だ。」変声器の向こうの声に、感情の欠片もなかった。「妨害者は排除する。」

一拍の沈黙。

「では、先に...

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