第70章

重い金属製のスライドドアが開いた。

冷気と機油の匂いが同時に押し寄せてきた。凛は車内へ踏み込みながら、素早く周囲を確認した。金属パネルで覆われた内壁、複数の電子監視スクリーンが都心各所の映像をリアルタイムで映し出している。左右に二列ずつ、武装護衛が直立していた。視線は前方に固定されたまま、微動だにしない。

水野の人間ではない。結城司の人間でもない。

誰の車か、わかっていた。

わかっているからこそ、喉が詰まった。

男が背を向けてスクリーンの前に立っていた。凛と輪郭が似ていながら、より精悍で引き締まった肩幅——その背中を、五年間見ていなかった。

「鋭斗」

思っていたより、かすれた声...

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