第74章

第七十四章

嵐の跡だった。

割れた花瓶の破片が床に散らばり、飾り棚が傾いて角に倒れていた。消毒薬の刺すような匂いと、まだ散りきっていない血の気配が空気に混じっていた。星野凛はその狼藉の中心に立ち、胸の奥から込み上げてくるものを押し込めながら、ゆっくりと息を吐いた。

鋭斗はソファに座ったまま、肩を沈め、床のどこか一点を見ていた。口を開かなかった。

凛は隣に腰を下ろし、声を落とした。

「結城のことは、私が対処する」静かな声だった。「今は体を治すことだけ考えて。あんな男のために、自分を壊すことはない」

鋭斗は答えなかった。ただ横を向き、一度だけ凛を見て、また視線を戻した。

凛は立ち...

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