第77章

星野凛は、松本紗耶をじっと見た。

奇妙なものを見るような目だった。

紗耶はバーカウンターに座り、グラスを手に持ったまま、さっきの「現場解説」の余韻からまだ抜け出せていなかった。白鳥遥の動きをひとつひとつ分解して、したり顔で語り続けた直後の、あの満足げな顔をしていた。

凛は彼女が話し終えるのを待ってから、口を開いた。

「今夜、失恋して飲みに来た人、どこに行ったっけ」

紗耶の口が一瞬止まった。

「……私はただ、客観的に——」

「客観的に」凛は繰り返した。抑揚のない声だった。「じゃあ聞くけど、どうするつもり。0と1で組んだコードで、あの人のMacにウイルスでも仕込む?それともここの...

ログインして続きを読む