第83章

星野凛は、目の前の少女をじっと見つめた。

涙はとっくに乾いていた。演技も、村長が何度も言い含めた台詞も、そこにはなかった。あるのはただ、その瞳だけだった——腫れ上がった瞼の奥に、凛がこれまで子どもの顔に見たことのないものが宿っていた。委屈でも、恐怖でもない。絶望だ。本物の、生活に磨り減らされた絶望が、それを抱えるには小さすぎる胸の中で、石のように沈んでいた。

「家に連れて行ってもらえる?」

少女の体が、かすかに固まった。小さな手がスカートの端を握り、視線が地面に落ちる。すぐには答えなかった。希乃は凛の後ろで、黙ったまま立っていた。

沈黙が、十秒ほど続いた。

少女はゆっくりと顔を上げ、...

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