第89章

ラジオから、アナウンサーの声が淡々と流れてくる。感情の起伏を一切削ぎ落とした、ほとんど冷淡とも言える声で。

「台風は強い熱帯低気圧に勢力を落としましたが、影響はまだ続く見込みです——四十八時間。」

四十八時間。

二日間。

凛は目を閉じ、その数字が頭の中でゆっくりと沈んでいくのを感じた。

唇には、昨朝の熱がまだ残っていた。焼き鏝が冷めた後もしばらく残る温度のように。羞恥と怒りが絡み合って、彼女をきつく縛りつける。深く息を吸い、その感覚を無理やり胸の奥底へ押し込んだ。そこに留めておく。浮かび上がらせない。

それから、陽太と諒の顔が浮かんだ。

二つの顔が、次々と頭の中に現れる——鼻に皺...

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