第90章

手機の画面を、凛は三秒間見つめた。

通話が切れていた。

九死に一生を得て、温かいお茶の一杯も飲めないまま。

手を離すと、スマートフォンがソファに落ちた。クッションの上で一度弾んで、肘掛けのそばに倒れる。

陽太が絨毯の上でブロックを組みながら、顔も上げずに訊いた。「誰から?」

「会社」

「明日、仕事?」

「うん」

陽太がブロックを一つ、力いっぱい差し込んだ。乾いた音が鳴る。「じゃあ今夜はちゃんと休まなきゃ」

諒はソファの反対側で、黙って凛を見ていた。

凛は深く息を吸い、背もたれに身を沈めた。

あんな人間を相手にしていたら、自分もおかしくなる。

目を閉じ、その言葉を一度だ...

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