第92章

旋転展望レストランは、ホテルの最上階でゆっくりと回り続けていた。窓の外の東京の夜景は、次々と切り取られた一枚一枚の絵のように、視界を流れていく。

星野凛は鋭斗の腕を引いて窓際の席に座り、メニューを手に取った。照明は意図的に落とされた暖色で、どの顔もほんの少しだけ実際より柔らかく見えた。

視線が、ふと別の落地窓の方へ流れた。

結城司が、そこにいた。

向かいに座っているのは五十嵐燈だった。藏青色のスーツを纏い、書類ファイルを手に、わずかに前傾みになって何かを低く話している。真剣な表情には、計算された誠実さが滲んでいた——城西の再開発プロジェクト、協業スキーム。距離があっても、凛はその唇の動...

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