第94章

審査室は仮設の間仕切りで区切られた小部屋だった。ガラス壁の向こうには廊下が続き、まだ散らずにいる参加者が数人、低い声で話しながらこちらへ視線を流してくる。好奇心か、野次馬根性か——区別のつかない目が、ガラス越しに張りついていた。

締め切りまで、あと三時間。

凛は椅子を引き、テーブルの前に座った。

テーブルの上には、希乃がコンビニで急いで揃えたものが並んでいた。4K規格の水彩紙、基本二十四色の固形水彩セット、そして穂先がわずかに割れた面相筆。

それだけだった。

凛は一度だけ目を落とし、水彩紙をテーブルの正面に置き、絵具ケースを開け、筆を右手側に並べた。急ぎもせず、慌てもしない——長...

ログインして続きを読む