第96章

第96章

廊下の騒ぎは、この瞬間、頂点に達していた。

矢野蒼真が通路の中央に立ち、額にはすでに薄く汗が滲んでいた。入賞候補の選手たちが半円を作るように取り囲み、疑問の声、抗議の声が次々と重なり合う。腕を組んで冷笑している者、隣の人間に何かを囁いている者、直接口に出す者もいた。

「なぜ全員でやり直さなければならないんですか。それこそ不公平じゃないですか」

矢野の視線が結城司へ流れた。助けを求める色が、隠しようもなく滲んでいた。

結城司は動かなかった。

五十嵐燈は人の輪の端に立ち、顔色が蒼白だった。表向きは混乱に巻き込まれた一人に見えた。だがその内側では、小さな期待が静かに燃え続け...

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