第97章

初生(はじまり)

その二文字が、宴会場正面の大スクリーンに白く浮かび上がった。

巨大で、明確で、逃げ場がなかった。

ホテル最大の宴会場は、普段は授賞式や企業パーティーに使われる空間だった。今夜はそれが、臨時の競技場に変わっていた。二台の同じ製図台が会場中央に並べられ、真上からスポットライトが落ちている。光の輪の外には、黒々とした人の影——百人を超えるデザイナーたちが自然と輪を作り、その場に立っていた。見届ける者として。裁く者として。

矢野蒼真が台の脇に立ち、腕を組んでいた。表情は硬く、厳かだった。

飛躍杯三十年の歴史で、加試合が行われるのは初めてのことだった。

結城司は、会場の最も...

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