第99章

凛は枕に背中を預け、右肩の包帯のせいで上半身が固定されたように動けなかった。

口を開く。

「あの時、彼も現場にいたんです。彼が先に子どもたちを連れ出してくれなかったら、結果は——」

「もういい」

鋭斗の声は低かった。それだけで、彼女の言葉をきれいに断ち切った。

凛の指が無意識に握り締められ、右肩に響いた。小さく息を呑んで、睫毛を伏せたまま、しばらく動かない。

鋭斗は病床の傍らに立ち、その動作を見ていた。何かが目の奥を過ぎった。無言のまま手を伸ばし、背中のクッションの位置を直してやる。もたれやすいように、ただそれだけのために。

手つきは、ひどく丁寧だった。彼らしくない。

凛は断り...

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