第118話ごめんなさい、ジューン

   ~ヘルメス~

「ヘルメス、行こう。彼女のことは医者たちに任せるんだ」

父の補佐役であるシャビの声が、背後のどこかで反響した。耳鳴りの奥で、その声はひどくかすかで遠かった。

目が焼けるように熱く、涙で特別病棟の無機質な白が滲んでいた。シャビが僕を引き離そうとするあいだ、いくつもの音がもつれ合っていた――モニターの鋭い警告音、重なり合う医師たちの怒鳴り声。

「九十ジュール、充電!」

シャビの手を振りほどこうと身をよじり、僕は腕を彼女の青白く動かない顔へと伸ばした。「ママ!」

母さんは、生きると約束したのだ。僕がキスをすれば、生きるって言った。

なのに、目を開けてくれない。

除...

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