第145章クラックを修正

〈ナターリャ〉

待合室に腰を下ろし、脚を組んで、だらだらとスマートフォンを指先で流していく。空調の低い唸りが静けさを満たし、私は自分でも気づかぬうちに微笑んでいた――本当に笑っている。こんなふうに笑えたのは、何週間ぶりだろう。

苦しみの中に安らぎを見いだすなんて。

ヘルメスを苦しめること。

あの女を苦しめること。

私は小さく鼻歌をもらし、ニュースを読んでいるふりをする。けれど本当は、今日の午後のジューンの顔を反芻していた。私が、ガラ用のドレスは彼女が担当することになると告げた瞬間、あの子がどう凍りついたか。従順な小さなインターンらしく、不快さをぎゅっと噛み殺していた様子を思い出して、味...

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