第164話墓石

ジューン

一週間後。

司祭の言葉が墓石の上を漂っていくあいだ、私の顔はくしゃくしゃで、目は涙に曇っていた。私はため息をつき、唇を舐める。そこには涙の苦い塩気が残っていた。

こんなの、現実じゃないでしょう? きっとどこか歪んだ、残酷な悪夢に違いない。

信じられない。ありがとうと言う機会も、ごめんなさいと謝る機会も、何ひとつ伝える機会も、私はもらえなかった。

今でも彼の笑顔が見える。あたたかな声が聞こえる。触れられたときの優しさだって覚えている。なのに、もう……なくなってしまった。消えてしまった。塵になって。

隣ではレイラが声を上げて泣いていた。その泣き声は鼓動のたびに大きくなっていく...

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