第181章彼は覚えている

六月

《YAD――ヴァンナ・ラニエル》

いったい何やってんのよ、六月。

そう自分に何度も問いかけていた――彼の言葉が、私たちのあいだに落ちてくるその瞬間まで。暗く、重く。

「俺が……クリスに何をしたか、話したことあったか?」

素肌の背中に当てていた手が凍りつく。止める間もなく、目が細くなった。

取り戻された記憶。クリス。彼はクリスを覚えている。

いい。すごくいい。

私は間違っていない。

「……ううん。でも、結局わかったよ」息を吐くように言い、唇を噛む。「あなたが裏でやったんだって、ずっと知ってた。ねえ――」ごくりと唾を飲み、彼の視線から逃げないようにする。「あの頃、私のこと……好...

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