第202章ディナー

六月

ルシアンの前に皿を置き、ゆっくり息を吐く。

ほんの一瞬、視線がぶつかる。

それから、すぐに目を逸らした。

反射みたいなものだ――昔、火傷したものに触れて、痛みが戻る前にぱっと手を引っ込めるみたいに。長く見つめたら、表情を平静に保てる自信がない。

身をひるがえすと、ヘルメスがワインの瓶を片手にテーブルへ近づいてくるところだった。

顎が強張っている。強張りすぎている。

表面は落ち着いているが、あの目つきは知っている。前にも見た。愛する人に頼まれたから嵐を飲み込んでいる男の顔だ。

頼んだのは、私だ。

それがどういうわけか、胸の奥を疼かせる。

だって傷つけられたのは私だった。...

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