第229話彼女を行かせて

♤カイン♤

「出て行って。もう撃たれてるの、カイン。私のために弾を受ける必要なんてない。もう、私は撃たれてるの」

彼女の両手が俺の胸を押し返す。

身体はびくともしない。

だが、彼女の言葉は――

まっすぐに俺を貫いた。

俺はよろめいて一歩退く。力に押されたわけじゃない。あの声の衝撃に、だ。肺の中の息が、ゆっくりと震えながら吐き出されていく。

こんなことになるはずじゃなかった。

何もかもが、そうだ。

彼女は生きている。それだけで感謝すべきなのに。実際、感謝している。彼女がまだ息をしていること、俺も彼女も失わずに済んだことを、俺は秒ごとに神に祈っている。

だが、赤ん坊は……。

...

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